SHOWA TWO AUTUMNS

2025.10.18 & 2026.10.04 / 昭和記念公園

二つの秋、
比べない。

……比べる。ちょっとだけ。

二つの秋を、42枚で。
人物抜き、花と傘と虫の話。

SCROLL TO REMEMBER

A QUIET WALK. TWO AUTUMNS.

去年の秋と、
今年の秋。

同じ昭和記念公園を、一年あけて二度歩いた。
花を撮り、傘に驚き、虫に寄り道し、
池の前で一息ついた。

二日は14日違い。同じ公園、違う顔。
色と光と季節の進みを見比べる、
ちょっと真面目な、だいぶゆるいアルバム。

01 — SKY02 — FLOWERS03 — KOCHIA04 — UMBRELLAS05 — GARDEN06 — BUGS

01 / LIGHT FIRST

まずは、
空の光から。

晴天の青と、曇天の白。
光が違うと、同じ公園が違って見える。

同じ秋。でも、同じ条件ではありません。

2025年10月18日と2026年10月4日。撮影日の差は14日。場所・植物・光・切り取りも違います。ここで比べるのは、写真に写った雰囲気。年だけを原因にした比較ではありません。

晴れの開放感。雲の落ち着き。

2025年の一枚には青空と濃い影、2026年の一枚には厚めの雲と柔らかい光。強い色の対比と、しっとりした階調の違いが見える。どちらにも広い芝生。散歩の余白は、ちゃんとある。

2025.10.1810:06

晴れの日の、芝生は広い。

写真評 高い空と濃い影。晴天の散歩は、足取りまで軽くなる。木の緑も芝の緑も、光に押されて前に出てくる。

2026.10.0410:25

曇りの日の、芝生も広い。

写真評 柔らかい光で、緑の階調がしっとり見える。晴れの派手さはないけれど、目に優しい一枚。これは一日の天候の判定ではなく、この一枚の光の話。

2025.10.1809:42

ススキの穂が、空をつつく。

写真評 白い穂のふさふさと、秋晴れの青。花畑の前哨戦として、秋の気配を運んでくる一枚。逆光気味に撮ると穂が光ってさらに秋らしい。

2026.10.0410:04

朝の花畑、開店準備中。

写真評 10時すぎの柔らかい光。花も葉もまだ眠そうで、これからの一日を予告する一枚。曇天の拡散光は、花の色を素直に写す。

2025.10.1811:12

広場は、のびのび。

写真評 広い芝生に人の点々。何もないことの贅沢を写した一枚。遠景の人影は広さの物差し。

2025.10.1811:05

イチョウ並木は、まだ緑。

写真評 10月中旬でも黄葉はまだ先。緑のトンネルが涼しげで、秋の始まりを感じさせる。黄葉の名所も、緑の時期がある。

02 / FULL BLOOM, EARLY BLOOM

満開と、
開花前。

2025年は花の量で押し、
2026年は一輪の形で見せる。

満開の黄色と、開花前の緑。

2025年10月18日は黄と橙が畑を埋める満開。2026年10月4日は緑優勢の開花初期。撮影日が14日違うことが、この比較の大切な前提。年だけでなく、生育段階も混ざっている。一輪の形は、別のカードで。

2025.10.1810:03

黄が、満開。

写真評 黄から橙へのグラデーションが畑いっぱいに続く。2025年は花の密度が高く、葉の緑がほとんど見えない。これが満開の説得力。

2026.10.0410:53

緑優勢、開花はこれから。

写真評 花より葉の面積が大きい、開花初期の記録。2025年の満開と比べると寂しく見えるが、これは生育の途中経過。緑の濃淡を楽しむ一枚。

赤い穂の、量と質。

2025年は穂の行列を面で見せ、2026年は一本の穂に寄る。同じケイトウでも、切り取りで別物になる。量で押すか、形で見せるか。どちらも正解。

2025.10.1810:02

赤い穂が、立ち並ぶ。

写真評 真っ赤な穂の行列。ブーケガーデンの一角が、まるで筆立てみたいになっている。色の濃さでは2026年の穂より一枚上手。

2026.10.0410:28

花壇のアンテナ、受信良好。

写真評 斜めに伸びる穂が、画面に動きをつくる。赤紫と緑の対比も力強い。ただ、穂が重なる部分では主役が埋もれるので一本を選ぶとさらに強くなる。

塊で見るか、一輪で読むか。

2025年は黄と橙の塊の迫力。2026年は八重の一輪の複雑さ。畑の記録と図鑑の記録、同じ花壇から二つの楽しみ方。

2025.10.1810:02

黄と橙の、量り売り。

写真評 黄と橙が塊になって迫ってくる。花の量が多く、どこを切り取っても絵になる年だった。青空の抜けが小さいぶん、色の密度で勝負する一枚。

2026.10.0410:23

花びら、盛りすぎ説。

写真評 赤茶と橙の層がはっきり写り、立体感がある。中央配置は花の複雑さを読むのに向く。奥の葉の強い輪郭が少し気になるので、撮る角度にもう一工夫。

2025.10.1810:05

ブーケガーデン、色の渋滞。

写真評 赤・黄・ピンクが混じる欲張りな花壇。どこを見ても色があり、散歩の足が止まる。欲を言えば主役を一つ決めると、写真としての芯が通る。

2025.10.1810:04

白いコスモス、一点突破。

写真評 白い花びらと黄色い花芯の対比がすっきり。背景をぼかして一輪に絞った、潔い構図。白が飛びやすいので露出は少し控えめに。

2025.10.1810:06

ピンクと、青空と。

写真評 低い視点で花を空へ抜き、花びらの薄さまで感じさせる一枚。晴天の青がピンクを引き立てる、2025年らしい空の使い方。

2025.10.1810:10

コスモス畑を、歩く。

写真評 小道が畑の奥へ誘う、散歩感のある一枚。満開の密度と人の小ささで、畑の広さが伝わる。遠景の人影はスケールの物差しとして残す。

2026.10.0411:01

黄色だけじゃ、終わらない。

写真評 橙の一輪を緑と灰青の背景から切り離し、色の存在感を見せている。花の横顔を少し残す角度もいい。上の空の明るい部分を減らすと、花の輪郭がさらに際立つ。

2026.10.0410:27

赤は今年も、出勤中。

写真評 赤紫の穂を面として見せた構図。2025年より色数を絞って見えるのは、この切り取りの効果も大きい。遠景の看板を外すとさらにすっきり。

2026.10.0410:17

丸い。かわいい。説明以上。

写真評 手前の丸い花穂を大きく、奥の花穂を小さく置いた奥行きがいい。右下の葉は主役と競うので、少し上から狙うと球形のリズムが整う。

2026.10.0410:31

花の中にも、花がある。

写真評 濃いピンクと黄色の中心がよく分離し、花芯の細部まで楽しめる。主役が右寄りなので左の空間が生きる。周囲の葉を少し整理すると完成度が上がる。

2026.10.0410:58

今年の気分は、レモン。

写真評 黄色い一輪と緑のぼけで、2025年より柔らかい印象。開花初期らしく、花より葉の面積が大きい。少し左へ寄せると余白に風が通る。

03 / RED AND GREEN

コキアは、
赤と緑。

去年の満紅葉と、今年の紅葉初期。
このアルバムの、いちばんの見せ場。

赤くなるにも、順番がある。

2025年10月18日は真っ赤な満紅葉、2026年10月4日は緑に桃色が混じる紅葉初期。14日の差と、その年の進みの差。コキアにも進捗会議はない。

2025.10.1810:19

2025、真っ赤。

写真評 株の丸みと赤の濃さがそろった、満紅葉の一枚。並びのリズムが気持ちよく、遠景の緑との対比も鮮やか。左端の小さな人影は広さの物差し。

2026.10.0411:42

2026、まだグリーン寄り。

写真評 赤くなり始めた部分と緑の部分を同時に見せる、季節の途中の記録。撮影日が14日早いことも、この色の差の大切な前提。目線を少し下げ、株の重なりをほどくと丸みが見えやすくなる。

同じ畝の、赤と緑。

畝の列の並びは同じなのに、色が違う。赤の畑と緑の畑、どちらが上という話ではない。季節の途中の、違う地点の記録。

2025.10.1810:17

赤い列が、奥まで続く。

写真評 畝の列が遠近法で奥へ吸い込まれる。畑の広さと赤の量を同時に伝える、引きの上手い一枚。

2026.10.0411:42

緑の列も、奥まで続く。

写真評 同じ畝の並びが、緑の段階で記録されている。赤と緑、どちらが上という話ではなく、季節の進みの違いの記録。列の先に人を小さく残すと、畑の広さが伝わる。

ふたつの秋を、重ねてみる。

同じ場所・同じ画角ではありません。色の印象を楽しむ比較です。

赤みの強い2025年のコキア
緑が残る2026年のコキア
20252026
2025.10.1810:18

赤の、密度。

写真評 丸い株の反復と空の青が、秋の色を気持ちよく引き立てる。端に切れた株を整えると、並びのリズムがさらに明快に。

04 / UMBRELLAS, ONLY IN 2026

今年だけの、
和傘の展示。

2025年にはなかった、大規模展示。
芝生の上に、色の行列。

2026.10.0411:14

白地に、赤の大傘。

写真評 今年の見せ場。白地に赤の文様の大傘を手前に、色傘の行列が奥へ続く。晴れ間が出た和傘広場だけ、この日は青空だった。傘についた小さな傷みまで写すのは、展示の記録としてむしろ誠実。

2026.10.0411:15

白傘の壁、整列。

写真評 白傘がずらりと並ぶ、整列の美学。色傘の賑やかさとは対照的な、静かな迫力。格子の一マスに絞っても、全体を入れても絵になる。

2026.10.0411:17

紫の和傘、接近。

写真評 紫の濃淡と骨組みの線が、工芸品の顔を見せる。展示を「見る」から「読む」に変える寄り方。背景の緑が紫を引き立てる。

2026.10.0411:17

紫、もう一柄。

写真評 同じ紫でも柄が違えば別物。展示の多様さを伝える二枚目。和傘の章は厚めに、でも柄の重複は避けて選ぶ。

2026.10.0411:19

竹林は、静か。

写真評 和傘の賑やかさから一転、竹の垂直線だけの世界。日本庭園への導入として、気持ちを切り替える一枚。露出は少し明るめに、竹の緑を沈ませない。

2026.10.0411:25

竹の幹に、居候。

写真評 竹林の脇で見つけた小さな居候。保護色気味の胴体を、目で追う楽しさ。虫の章の前振りとして、さりげなく配置。

05 / WATER AND QUIET

池の前で、
一息。

日本庭園の水面は、その日の空のコピー。
2025年には撮らなかった、今年の静けさ。

2026.10.0411:25

池は、空を写す。

写真評 曇り空が、そのまま池に写る。水面の反射は、その日の空のコピー。雲の切れ間の明るさが、水の透明感と混ざる。

2026.10.0411:26

水面に、庭が溶ける。

写真評 水面と実景の境目が曖昧になる、静かな一枚。風が弱い瞬間のご褒美。上下対称を意識すると、庭が水に溶けた感じが強まる。

2026.10.0411:26

木橋を、渡る。

写真評 庭園の動線としての木橋。渡る人のいない静けさが、かえって歩きたくなる。橋の線を対角に入れると、庭の奥行きが出る。

2026.10.0411:26

石と、水と、雲と。

写真評 石の重さと水の軽さ、雲の動き。三つの要素が一枚に収まった、庭園らしい贅沢。手前の紫の実も秋の印。

06 / THE SMALLER THE SUBJECT, THE LONGER THE WALK

花を見ていたら、
先客がいた。

2026年の、小さな寄り道。
蜜のレストランは、昼前から営業中。

名前は写真の特徴と資料から推定。確定できない種・品種はそのまま明記しています。写真評は、このアルバムの編集者による主観です。

2026.10.0410:18

セセリ、食事中。

写真評 キバナコスモスに取り付く褐色の影。前翅の白い斑点が、セセリチョウの名札。蜜に夢中で、カメラを気にしない。

2026.10.0410:20

手すりの上の、赤。

写真評 金属の手すりが止まり木。赤い腹部の色が、無機質な背景に映える。接写の前の一枚、まずは全身の記録。

2026.10.04 · 10:18セセリチョウ類(イチモンジセセリが候補)

蛾っぽい顔して、チョウです。

写真評 長く伸ばした口吻まで写り、食事中の行動が伝わる。翅の斑紋も見えるが、葉と虫が重なり輪郭が少し曖昧。大きく撮れた分、背景整理が次の課題。

図鑑と、次に撮るなら

セセリチョウ類(イチモンジセセリが候補)

候補:Parnara guttata / セセリチョウ科

褐色の翅、太めの胴、大きな目をもつチョウの仲間。写真の白い斑点の並びからイチモンジセセリが候補だが、翅の表裏と斑紋の全体をそろえて確認したい。幼虫はイネ科などを食べ、成虫は花を訪れる。

次の一枚をよくするには

目にピントを置き、虫が向いている側に余白を残す。横位置に加え、後翅の白斑がよく見える角度を一枚。動くなら連写、速度を設定できる機材なら1/500秒前後から試す。

東京都公園協会|多摩丘陵の夏の昆虫
2026.10.04 · 10:20アカネ属の一種(種は未確定)

赤とんぼ、休憩中。撮影者も。

写真評 低い目線で複眼と翅脈を写した、観察向きの一枚。手すりの反射が翅の透明感を引き立てる。右の空間に対して左の尾が近いので、少し引くとバランスがいい。

図鑑と、次に撮るなら

アカネ属の一種(種は未確定)

Sympetrum 属 / トンボ科

赤い腹部だけでアキアカネとは決められない。赤トンボの仲間には、胸側面の黒い模様、顔の模様、脚や翅の特徴で見分ける種がある。この写真は胸の全体を読み切れないため、アキアカネなどを候補にとどめる。

次の一枚をよくするには

目にピントを置いた写真に加え、胸を真横から写す。同定用は顔の正面と翅の全体も撮る。手すりの線を斜めに通すと、単調な背景に方向感が生まれる。

東京都公園協会|秋の赤トンボガイド
2026.10.04 · 10:29ホウジャク類(ホシホウジャクなどが候補)

ハチかと思ったら、蛾でした。

写真評 長い口吻とぶれた翅で、蜜を吸う一瞬が伝わる。花びらの傷みまで残す描写は観察としておもしろい。動く翅と比較的止まった胴体の対比が効いている。

図鑑と、次に撮るなら

ホウジャク類(ホシホウジャクなどが候補)

Macroglossum 属の候補 / スズメガ科

太い胴と高速の羽ばたきでハチに見えるが、長い口吻で花の蜜を吸うスズメガの仲間。ホシホウジャクは昼間にも活動する。写真では翅の模様が流れているので近縁種との区別は保留する。ハチだと決めつけなかった撮影者、えらい。

次の一枚をよくするには

胴体か目を追って連写。機材で調整できるなら1/1000秒以上を起点にして、光量に応じて感度を調整する。翅を止める写真と、このように動きを残す写真の両方を狙う。

昆虫エクスプローラ|ホシホウジャクの観察記録

07 / TWO AUTUMNS, ONE PARK

赤と緑、
どちらも秋。

満開の年も、開花前の年もある。
晴れの年も、曇りの年もある。

花は季節を教えてくれた。
傘は今年の驚きをくれた。
虫は寄り道を教えてくれた。

また来年。同じ公園へ、違う秋を見に。